周りを見渡せば、親世代よりも勉強し、熾烈な準備を重ねてきたにもかかわらず、手にする給与袋は軽くなったという若者たちの嘆きが聞こえてきます。これは単なる主観的な感覚ではなく、統計的にも世代間の所得格差が資産格差と同じくらいの速さで広がっている事実が裏付けられています。

かつては年齢とともに自然に所得が上がり、資産を形成していくという好循環が可能でしたが、今は状況が大きく変わりました。高成長時代の「終電」に間に合った世代と、低成長の沼にハマった世代の間で、なぜこれほどまでに賃金格差が広がったのか、その構造的な背景を探る必要があります。


実質賃金上昇率に表れる世代間の温度差

物価上昇分を除いた、実際に財布に入るお金を意味する「実質賃金」を考慮すると、世代間の格差はより鮮明になります。ここ数年、40代と50代の実質賃金は2桁以上の高い上昇率を記録し、着実に増加した一方で、20代と30代の上昇幅はその半分にも及びませんでした。

この現象は、単に若者の労働量が少ない、あるいは能力が不足しているから起きているわけではありません。経済成長率が1〜3%台の低成長に留まり始めたことで、企業が負担できる人件費の総額に限界が来たことが根本的な原因です。誰かの給料が上がれば、別の誰かのパイが減らざるを得ない構造に変わってしまったのです。


定年延長と年功序列が作った「見えない壁」

若年層の所得が停滞している背景には、60歳定年の義務化と、既存の年功序列(ホ봉제)システムがあります。雇用の安定性が強化され、熟練した高齢層が組織に長く留まるようになりましたが、企業側は増大した人件費負担を、新規採用の縮小や初任給の凍結によって解決しようとする傾向が強まりました。

特に、職務の価値や成果よりも勤続年数に応じて賃金が自動的に上がる年功序列制が維持されているため、既成世代の賃金は確固たる右肩上がりの曲線を描きます。その一方で、労働市場に新たに参入する若者たちは、相対的に不安定な雇用や低い初任給構造を受け入れざるを得ない状況に直面しています。


消費余力の減少がもたらす長期的な経済シグナル

所得格差の拡大は、単なる個人の不満を超え、国家経済全体の活力を低下させる結果を招きます。社会の中核を担い、最も活発に消費すべき若年層の所得が停滞すれば、内需市場は萎縮せざるを得ません。

結局、若者が未来を設計し、家庭を築くための経済的基盤が弱まることで、少子高齢化問題はさらに深刻化するという悪循環に陥ります。これは特定の世代の利益を奪うという次元の問題ではなく、持続可能な経済構造を作るために、社会全体が必ず解決しなければならない課題なのです。


持続可能な賃金構造に向けた模索

現在の格差を埋めるためには、単に企業に採用を強いるやり方だけでは限界があります。仕事の内容や成果に応じて正当な報酬が支払われる「職務中心の賃金体系」への転換が議論されている理由もここにあります。

成長が鈍化した時代には、限られた財源をいかに公正に分配するかという社会的合意が重要です。世代間の葛藤として片付けるのではなく、若者には挑戦できる機会を与え、既成世代はその経験を社会に還元できるような、柔軟な雇用構造を設計すべき時が来ています。

今現在の給与の差よりも恐ろしいのは、「未来に対する希望」の差です。若者たちが自分の努力に見合った所得を得て、資産を形成できるという信頼が回復したとき、私たちの経済もようやく長期停滞の影から抜け出すことができるでしょう。