ソウル市内の主要な大型マートを訪れると、以前とは明らかに異なる風景を目にします。店の入り口には大きな旅行用キャリアがずらりと並び、売り場のあちこちからは様々な外国語が聞こえてきます。かつて外国人のショッピングコースといえば、主に免税店や百貨店に集中していましたが、今や韓国人の日常が詰まった大型マートが「必須の旅行目的地」として定着した様子です。こうした流れは、単に訪問客が増えたというレベルを超え、流通業界の業績図を塗り替える核心的な動力となっています。

外国人たちがどのようにマートを利用するようになったのか、そしてなぜ特定の店舗に熱狂するのか、その裏にある戦略と変化を探ってみましょう。


「現地人のように消費する」ローカル体験の拡大

最近の外国人観光客のショッピングパターンで最も目立つ点は「現地化」です。団体観光バスに乗って免税店を巡るスタイルから脱却し、自ら情報を探し、韓国人が実際に食べて使っている製品を経験したいという欲求が強まりました。SNSを通じて韓国の食文化がリアルタイムで共有されることで、「韓国のマートでしか手に入らないユニークな商品」が彼らのショッピングリストの1位に躍り出ています。

実際に最近の統計によると、訪韓日本人観光客の多くが特定の大型マート店舗を訪れていることが分かりました。これは、マートが単に物を売る場所を超え、韓国文化を体験する「プラットフォーム」として認識されている証拠です。店内の構成もこうした需要に合わせて変化しています。ハングルのデザイン要素を取り入れたインテリアを採用したり、韓国特有の「試食文化」を強化したりすることで、外国人にとって一つのアミューズメント空間のように感じられるよう工夫する事例が増えています。


グローバル・ステディセラーを超えた「限定商品」の人気

韓国のラーメンといえば特定のブランドの激辛ラーメンを思い浮かべがちですが、最近のマートでの売上順位は少し異なる様相を見せています。グローバル市場ですでに有名な製品よりも、そのマートでしか買えない「単独企画商品」や、特定のブランドとコラボレーションした異色の製品が売上上位を占めるケースが増えています。

例えば、特定のマートと食品企業がタッグを組んで発売したスープラーメンが、既存のベストセラーを抑えて外国人売上1位を記録するという現象も起きています。外国人客にとっては、韓国旅行に来た時にしか買えない「希少性のあるアイテム」に大きな価値を置いているのです。これに加え、健康への関心が高まったことで、砂糖不使用のゼリーやコンブチャといったトレンド感のあるスナック類も、外国人のカゴの中の定番メニューとなっています。


ショッピングの利便性を極大化した「パーソナライズ・インフラ」の構築

外国人観光客が特定の商圏のマートに集まるのには、相応の理由があります。手荷物預かりサービスやキャリア専用の梱包台といった、細やかなインフラが整っているからです。旅行の最終日に重い荷物を持って移動しなければならない観光客にとって、マートで買い物を終えた後、そのまま空港へ向かえるような動線設計は強力な誘引策となります。

さらに、決済の利便性も一役買っています。その場で税金の払い戻し(即時還付)を受けられる機器を設置したり、海外専用の決済手段を幅広く導入したりするなど、決済過程での煩わしさを減らした点が功を奏しました。また、国内のマートブランドが直接海外へ進出し、攻撃的なマーケティングを展開している戦略も目を引きます。東京の繁華街に大型屋外広告を設置したり、若者が好むショート動画プラットフォームを活用して韓国マートのショッピング情報を発信したりすることで、訪れる前から期待感を高める手法です。


大型マートが新たな観光の拠点となった理由

内需市場が停滞期に入った状況において、外国人観光客は流通業界にとって「恵みの雨」のような存在です。特にオンラインショッピングの成長により、オフライン店舗の危機説が絶えませんでしたが、外国人にとってマートは「代替不可能なオフライン体験」を提供する空間として生まれ変わりました。

今や外国人は、免税店の高級品よりも、マートの「ワカメスープラーメン」や「韓国のスナック菓子」により大きな楽しみを感じています。こうした流れは一時的な流行を超え、韓国の流通産業の新しい標準(スタンダード)として定着する可能性が高いでしょう。今後も主要観光商圏に位置する店舗は、外国人の好みを狙い撃ちする差別化された商品とサービスを武器に、グローバルな顧客獲得競争を続けていくものと見られます。

結論として、今日の大型マートの変化は、単なる売上増大を超えて「韓国のローカルコンテンツがいかにしてグローバルな競争力を持ち得るか」を示す興味深い事例であると言えるでしょう。